ザ・ライブラリーの記念すべき第一作である南青山A邸の工事現場は順調に進んでいます。

先回の現場レポート-2の時点では、壁や天井のボードが穴あきだらけでしたが、全ての穴が塞がれて、天井カセット型エアコンが設置され、ダイニング上の照明ボックスもきれいに埋め込まれています。何よりの大きな変化は、南側の窓2つをデザイン的に纏めている木製の三方枠が設置されたことでしょうか。

時間的にちょっと遡ります。一週間ほど前の現場ですが、床に置かれた中央部が黒く塗装された謎の箱が、実は後日天井にはめ込まれた照明ボックスなのです。

この箱を大工さんが2人掛かりで天井に作った穴にはめ込むと…、

このようになるのです。梁型のようになっていた部分にも天井カセット式エアコンが吊られていますね。新築の高級マンションのモデルルームで、リビングダイニンに壁掛けエアコンを見るケースはほとんどありませんが、この南青山のお宅は標準は壁掛け式エアコンでした。それもデベロッパーが最初にくれた図面と仕様書を丁寧に読み解くと判ることなのですが、こちらのお客さまのA様もまさかご自分の家のLDのエアコンが壁掛けスタイルだとはご存じありませんでした。
僕らざ・ライブラリーで気が付いて、デベロッパーの新築オプションで天井カセット式エアコンに変更する見積りを依頼したところ、それだけで何と80万円になってしまい、それだけの費用を掛けるのであれば、リフォーム完成後に交換したほうが良いだろうとことになった経緯があります。

照明ボックスを間近で見たディテールです。ボックス内部は塗装仕上げとなっていますが、天井面はビニールクロス仕上げとなるので、そのビニール壁紙を見切るためにスリットを周囲に入れています。

ザ・ライブラリーでチームを組んでいるカガミ建築計画TAGKENは、ここまで南青山A邸のプラン作成や、お互いが設計したり、施工したプロジェクトの相互見学会、VRCGの研修等で研鑽してきましたが、実は一緒に工事をするのはまだ初めての経験なのです。それぞれが別々に培ってきた設計ノウハウや施工手順等をお互いに確認し、理解しあうために、この南青山A邸の現場でも1週間に2回ほど集まって、下請けの設備会社や職人さん達ともコミュニケーションをとっています。

田口とデザインスタッフの前田が電気屋さんを挟んで、意見のやり取りをしています。

こちらは窓の三方枠が入る前のリビングコーナーのPS部分です。エアコンの冷媒管とドレイン管が通り、その点検口が2カ所あり、さらに給気口もあいていました。

造作家具として作ったウォールナット突板製の三方枠を取り付けると、エアコンの冷媒・ドレイン管もきれいに隠して、点検口や給気口も収納の中に入れ込むことができました。

後日、完成後の様子ですが、給気口は黒く塗装して、飾り棚の中で目立たないようになっていました。

玄関ホールでは、墨出しが進んでいました。ビニールクロスを剥がした壁面に、鉛筆の線でアミダくじのような線が描かれています。壁の上部には幾つか丸い穴が開いていますが、これは壁の中央付近にあった照明スイッチを、玄関扉側に移設するために、電気屋さんが配線を横引きするために開けたものです。

4日後に現場に行った際には、このようにアミダくじの線に従って、ベニヤ板が張られていました。ベニヤ板同士の間に隙間(目地)が取られていることは実はデザイン上とても重要なのです。

玄関ホールからLDKへの長い廊下の片側にも、板同士の間に目地を取ってベニヤ板が張られています。既存仕上げのビニールクロスは表紙は剥がされていますが、下地はそのままで上に5.5ミリ厚のベニヤ板を張っているだけなので、工程はスピーディーです。

主寝室の壁にもベニヤ板が張られていますが、こちらはヘッドボードの下地となる部分なので、目地は取られていません。それぞれのディテールがどのように仕上がってくるのか、楽しみですね!