大理石をふんだんに使ったキッチン、浴室と浴室等の水回りを計画している横浜H邸のHさまと、ザ・ライブラリーの各務&田口、そして設計担当の岸本で中国福建省厦門市郊外の水头(頭の旧字体)鎮(以降、水頭)に大理石を探しに来ています。石材のプロで、先日の岐阜関ケ原&大垣エリアでの石材ツアーでも同行してくれた、キダマーブルの齊藤副社長、アジアグラニットの高木社長と池田さんも同行してくれての大理石探しの旅です。

成田空港から厦門空港までは厦門航空の直行便で約4時間、厦門市から車で約40分で水頭鎮に到着しました。

水頭の街に入ると、いたるところに白大理石を扱う石材店が軒を連ね、町全体がまるで巨大な石材展示場のようです。街中には石材を積んだトラックが行き来し、巨大な体育館のような石材展示場が何棟も連なっています。

石材展示場はほぼ全て開放型で、車でそのまま中に乗り入れて見学できるスタイルとなっています。東京ビッグサイトの展示場サイズの巨大空間の中に、色々な石材会社が区画スペースを借りて、大理石スラブを展示するというシステムになっているのです。

今回は白系の大理石が目的なので、実際に見て回ったのは白い大理石ばかりを展示しているお店でしたが、通りの左側には緑色系大理石を専門とした店もあれば、黒に特化したお店などがバラバラと散らばっています。

まず最初に訪問したのが、こちらです。ここでなんと奇跡が起きそうになったのです!

なんと、最初の展示場で最初に見た、このアラベスカートをHさまが気に入ってくださったのです!
最初はさすがに水頭には良い大理石がありますねといった感じだったのですが、マジマジと見ているうちに、これで良いかもとの話になってきたのです。

確認したところ、枚数が足りないことが判りましたが、隣に置いてあるこの石材の兄弟のような似た色味なので、右をメインのキッチンにして、左のこちらを水回りにするのでも良いとの話にまで膨らんできました。
ただ、その後、石材のプロの齊藤さん高木さん、池田さんが細かくチェックしてゆくうちに、3つの問題があることが判りました。

  1. スラブ材のほぼ中央横にかなりの山傷(ヤマキズ)が入っており、その傷のラインの近くでカットすると石材が割れてしまう可能性があること。
  2. スラブの短手サイズが1500ミリ程度しかないこと。
  3. キッチン扉や浴室では、ハニカムやFRP樹脂で裏打ちした薄いスラブ材に加工する必要があるのですが、こちらのスラブ材はそもそもの厚みが15ミリしかなく、ハニカム加工が難しそうなこと。

特に①に関しては、石材加工屋としてかなりのリスクがあるため、かなり余分目にスラブ材を購入しなくてはいけないことになるのに、そもそも右側のスラブが8枚ほどしかないことから、そうなると結局一番気にいっていらっしゃる左側のスラブよりも、ベストとは思われていない右側のスラブをメインにすることになってしまうので、一旦こちらは保留として、他のスラブを見て回ることになりました。

そのすぐ裏にあったのがこちらのSFストーンさんの倉庫です。ここで展示されているスラブの種類だけでも、おそらく60種類以上のアラベスカート、カラカッタ、スタトゥアーリオが所狭しと並んでいます。

普通のアラベスカートに交じって、このような迫力満点のアラベスカート・ヴィオラ(紫がかった模様が特徴の希少種)なども並んでいました。

その次に伺ったのが、ちょっと町はずれにある、こちらの捷成石材さんです。白系の大理石のスラブだけで恐らく500種類以上並んだ大きな石材屋さんです。

白系大理石スラブの海の中を泳いでいるような感じで、見ているうちに何が良くて何を探しているのか分からなく、頭の中が迷子になってしまいそうでした…。
それでも強い意志を持ったHさまは、設計担当の岸本さんと一緒にグングン、その海の中を迷わず進んでゆくのです!

これだけあっても中々お気に入りのスラブが見つからないでいると、お店の担当者、ちょっと外に出てみないかと誘われて外に出てみた時の景色です。
白系大理石のブロックが地の果てまでに続いているかのようでした。

倉庫内の石材が売れて商品が手薄になってくると、屋外に置かれた大量のブロックの中から良さそうな石材を選んで、随時スライスして補充してゆくとのことでした。

石材屋のホームページから拾ったドローンからの航空写真がこちらですが、どれだけ大きい石材屋さんかがこれで分るでしょう。ただこれだけ見ても、最初に見た一枚ほど良い物は見つかっていません…。

より高級な石材を展示しているVIPルームがあるというので、そちらも視察させて貰いましたが、これだというものが見つからないのです。

初日の午前中の最後に連れて行ってもらったのが、こちらの弘一石業集団です。アジアマーブルの高木さんが、白系の大理石ではこちらが一番高品質のものを持っていると一押ししてくれた石材屋です。弘一の中でも白い石材だけを集めた白石館です。
因みに壁面に書かれている「魚肚白」は「ビアンコ・カラーラ(Bianco Carrara)」(別名「雅士白」)、「雪花白」は「スタトゥアーリオ(Statuario)」、こちらには写っていませんが「大花白」は「アラベスカート(Arabescato )」または「カラカッタ(Calacatta)」と呼ばれているようです。水頭のマーケットは個人のお客さまも買いに来る場所なので、分かりやすい呼称で販売されいるそうで、日本で流通している石種の名称は必ずしも一致しないようです。
最終的にはこちらで素晴らしい石材との出会いがあったのですが、かなり長いブログ記事になりそうなので、一旦ここまでを第一弾とさせて頂きます。