現在リノベーション工事進行中の南青山A邸ですが、お客さまからのご厚意で、2022年の2月末までモデルルームとして使わせて頂けることになりました!
新しく「ザ・ライブラリー」というリノベーションビジネスをスタートするにあたっての「はなむけ」との、本当にありがたいサプライズなニュースでした。

現場の工事もハイスピードで進んでいます。壁に大理石調タイルが張られ、他の壁にもビニールクロスが張られ、照明器具が入ってくるとと、グッと雰囲気がスタイリッシュになってきました。

左手の扉奥に見えていたのが、この書斎スペースの造り付け(建築用語では造作(ゾウサク)といいます)の本棚です。マンション販売時はリビングイン(リビングから入る)子ども部屋の設定でしたが、コロナで在宅勤務の増加を見越して、大容量の本棚がある書斎スペースとしてインテリアを計画し直したお部屋です。

キッチンは調理機器等の設備的には、従来のままですが、背面収納を造作で作ったり、カウンタ下の壁紙を張り替えたり、壁の端部をステンレス仕上げに変えたり、背面収納をシート張りでお化粧し直しています。廊下からLDKに入ってくる壁には、大理石調タイルをデザイン張りしています。

上の写真より少し手前の段階でのタイル壁です。同じグレー色のタイルですが、「ツヤあり」と「ツヤなし」のタイルを張り分けて、単純に四角に目地を通して張った時より、グレード感を感じるように工夫しています。

タイルの目地に差し込まれている朱色のピンは、目地幅を均一に保つための小道具です。以前はタイルや石の職人さんたちは、指先の細かい感覚や糸を使って、タイル面をフラットにしたり目地を通して張ってくれていましたが、今はレーザー測量機や、細かい小道具が発達して、よりスピーディーに正確に張ることができるようになってきているのです。

 

こちらはビニールクロス壁のデザイン的な工夫です。巾木は以前お見せしたクロスと色合わせしたものを取り付けています。先回のブログで、ベニヤ板を隙間を空けて張っている様子をご紹介しましたが、壁紙をベニヤ板に張って端部をベニヤ板の隙間に差し込んで、パネルのように見せるデザインとなるのです。壁の端部がどうしてもそれでは納まらないので、このように、クロスと同色に焼き付け塗装したL字型の小さな金物を入れて、スッキリと見せる工夫をしています。

クロスを張り込むと、このようにクロスを巻き込んだパネルを並べて張ったようなグレード感のある壁に仕上がるのです。

玄関ホールの全容は、まだお見せできませんが、ディテールのチラ見せ(笑)です。ここもアミダクジ状にベニヤ板を張ったパネルの目地にクロスを差し込みながら張ってゆくと、このような不思議な質感のある壁が出来上がるのです。

リビングのキッチン&書斎側の壁は、もう少しシンプルな壁紙の納まりとなっています。ただ、こちらも既存のキッチンカウンターの下端に合わせて、二種類のクロスを張り分けています。書斎への扉の枠と建具(扉)は既存ものですが、実はクロスと同色同柄の化粧シートを見つけて、張り回して貰っています。横に張り分けの線が通ることで、壁と扉に一体感が出ています。

各務と田口で、LDK天井の折り上げ天井の間接照明ボックスの納まりを検討しました。後付けでボックスを取り付けると、後日天井クロスにひび割れが生じやすい箇所なので、二人のこれまでのノウハウを結集して、対策を練りました。

その間接照明ボックスを、脚立の登って横から覗いたアングルの写真が、こちらです。このボックスの立上り部分に金属製スパンドレルを張って、アゴの部分にLED間接照明を入れて照らし出す予定なのです。

アルミスパンドレルは、建物の外壁用に開発された建材ですが、ザ・ライブラリーではインテリア部材として転用しています。外壁に使える材料は水漏れが生じないように堅牢で、止付け方などが工夫されているものが多く、インテリアへの転用の可能性が沢山あると考えて、日々研究しています。

 

事前に加工場でカットしておいたスパンドレルを間接照明の立上り部分に固定していきます。

間接照明を点灯した写真はまだお見せできませんが、折り上げ天井の片側(向かって右側)はスパンドレルが張り上がりました。

 

こちらは主寝室の様子です。ベニヤ板の下地張りだった壁に、人工レザー張りのパネルが5枚張られました。遠目で見るとレザー張りの質感が見えてきませんが…、

 

近寄ってみると、ステッチが入ったレザーのしっとりと柔らかい触感が見えてきます。壁に隙間なくレザーパネルが張られた様子は圧巻です。

この日は多くの職人さんが入っての工事でしたが、ガラス屋さんが最大人数の3人でした。

 

リビングダイニングのコーナーの柱型部分に合わせて、事前に測量しカットしたカラーガラスを持って来て張ってくれています。

カラーガラス張りにも独特のノウハウがあります。出隅部分の見切り材や、カラーガラス同士の隙間感覚などで、見た目がかなり変わってくるので繊細な注意が必要なのです。

特注で作った手洗いカウンターを設置したトイレも…、

ツヤのあるカラーガラスを一面に張ることで雰囲気がグッと上がってきました。カウンターの上端や鏡とタイルの張分け目地の高さにカラーガラスの目地を合わせて貰っています。床は織り状のビニール系床材のボロンを使っています。
さあ、これでコーキング工事とクリーニング工事以外の工種はすべて入りましたので、次回に現場にお邪魔するのは竣工検査となります。