スケッチ図面とCGを元に作ったお見積りとスケジュールをAさまにご了承頂いたので、正式にザ・ライブラリーの初めての仕事として南青山A邸プロジェクトが始動することになりました。
まずは関係者全員が集まって、素材の確認とディテールの確認を行っていきました。都心の南青山に住まわれる都会的(アーバン)でスタイリッシュな住まい方をする方をターゲットとしたインテリアをイメージしたライブラリー素材です。費用対効果や施工のスピードも考えて、担当デザイナーの前田が選んだ素材類です。
この日は関係者全員揃ってのスタッフ写真を撮影する日でしたので、皆堅苦しい(笑)恰好をしておりますが、普段の仕事の際はもう少しカジュアルです。
ライトグレーとを基調として、ツヤと輝きを加えるライトブラウン色のカラーガラスや大理石調タイルに金属素材、反対に温かみや柔らかさを演出するウォールナットの木目やレザーパネルを組み合わせた素材構成です。
現地内覧時に実測を済ませた上で、造作家具屋さんに同席して貰い、田口と各務と前田の4人で細かいディテールの取り合いまで一気に打ち合わせを致しました。リフォームプランと簡単な仕様はCGを作る際に準備ができていたので、Aさまとの工事契約と同時にマンション管理組合にリフォーム工事申請をして、申請が降りるまでの2週間の間に設計の詳細を詰めながら、工事の準備を進めて、申請が降りたと同時に工事着工する流れで進めています。
カラーガラスやクオーツストーン、ビニールクロスなどの人工的な素材は色味のコントロールやディテールの扱いも慣れているのですが、木質やレザー素材などは色味も多少揺れがあったり、扱う職人さんたちの腕によって仕上がりの精度が変わってくるので、細かい施工コントロールが必要になるのです。
壁位置を変えずに仕上げ材を変えるだけのリノベーションがザ・ライブラリーの特徴ですが、壁を壊さない訳ではないのです。例えば当初はビニールクロスだった壁をタイル張りにする場合、壁のボードを一旦剥がして、ベニヤ板下地に変える必要があります。マンションは壁や天井に多数の点検口があるのですが、それらを隠すための工夫でも壁下地から作り直す必要があったりします。まずはリフォームプランに色分けしながら、どの壁材が来て、入隅(イリスミ)と出隅(デスミ)で異素材がぶつかる個所は見切りをどうするのか、さらには壁素材を張り直す部分では完成度を高めるために巾木もほとんど作り直すので、それらの細かい調整を図面上で行っていきました。
例えば巾木に関しては、このように図面にカラーマーカーで色分けして、どこにどのような素材と色味に塗装された巾木が来るのかを細かく指定致します。
ビニールクロスなどの色味に合わせて作って貰った巾木のサンプルも、デザイナーの前田が指定した日塗工(日本塗装工業会)の色味と確認して、微妙に違っていることを指摘して作り直して貰いました。
リビングの壁に張る大理石調タイルの張り方も、現地での壁のサイズ確認の後に割り付け直して、なるべくタイルの無駄が出ないように調整しています。本来は実測後にCADで図面を書き直して、その図面上で割り付け寸法を計算した方がきれいで分かりやすい図面ができるのですが、スピード感を確保しながらの作業なので、今回は手書きで進めています。
造作家具屋が作ってくれた製作図も細かく赤チェックを入れて、ディテールのクオリティーを担保してゆきます。まだ実際の工事が始まる前ですが、設計や施工、家具屋の中では頭と図面上はどんどん工事が進んでいるのです!