先日A様にご説明をした最小限の設計変更オプションの内容を明記してみました。ご購入なさったお部屋のネックでもある玄関とリビングダイニングを中心に手を加えています。
収納に囲まれ蛇行した窮屈な玄関から長い廊下を通って、家具の配置が難しそうなリビングダイニング。
引き渡し後にザ・ライブラリーで手を入れることを踏まえて、空間を整えていく下地の形成をしていくことが目的です。
まずは、窮屈な玄関にゆとりを持たせるために、収納を削ります。トイレ側にも収納がありますが、トイレの手洗いを大きくするためトイレ側の空間を広げました。
玄関の形状が変わりますのでダウンライトの位置を10cmほどずらしています。
玄関収納と壁面に数センチですが段差があるため裏側をふか(仕上げ面を前または後ろにずらすこと)して前面を合わせることで壁面と一体的に見せるように指示をしています。

LDKにおいては、キッチンパネルの色味を変更して、リフォーム後の色彩のコーディネートに相性のいいものを選定しました。
リビングダイニングに面する洋室が出っ張っていることで、家具の配置が難しい間取りになっていることを改善するために洋室を狭めてキッチン裏の壁面とフラットになるように壁の移動をしています。
子ども部屋としてはコンパクトなスペースとなってしまいますが、ベッドが置けるスペースは確保しています。またこのコロナ禍の中では在宅勤務用の書斎としても利用できるでしょう。
この設計変更オプションを行うことで、リビングダイニングはほぼ長方形の整形な空間になり、置き家具のコーディネートの幅も広がるだろうと思っています。
設備機器の変更では、壁面の移動による、スイッチやコンセントの移動。壁掛けエアコンを天井カセットエアコンに変更して、空間に無駄な凹凸のないすっきりとした空間にまとめました。

以上がデベロッパーに見積もりをお願いした有償の設計変更オプションになります。

A様より先日設計変更をしたオプションの見積もりがマンションデベロッパーから届いたとの連絡を貰いました。
まずは図面の方を確認させてもらいました。青線で描かれているものが要望を変更したものです。希望通りの変更が出来ていることは確認できました。

金額を見ると。。。1,635,154円。
高額であることは覚悟していましたが、ここまでの金額とは思いませんでした。

特に気になるところとしては、
1の詳細は収納を中止することで金額が加算されています。+77,062円
3のダウンライトを10センチほど左に動かす工事、二カ所。+27,600円
5のキッチンパネルの色味変更(同銘柄、同価格の物を選定)+40,250円
6の壁掛けエアコンから天井カセットエアコンへの変更 +803,850円
8の引っ掛けシーリングの移設(右に40cm移動)+41,400円
12の引っ掛けシーリングの移設(右に35cm移動)+27,600円
この打ち合わせをしている段階では、マンションの杭工事(地面の下の硬い岩盤に杭打ちをして建物が構造的にしっかりとするための工事)をしている段階で、建物の地上部はまだ全く作られていない状態で、一部でも完成している内装を壊して直すものではありません。
更にここに設計変更に伴う経費まで加算されてきます。価格的にはできたものを壊して、処分し、新しいものを購入して取り付ける想定の価格かと思われます。
理論的には、まだ出来ていない建物とはいえ、設計図面上では完成しており、役所(または民間確認申請機関)での申請も終わっており、物によっては材料の発注も終わっている素材もあるので、お客様側からすれば少々の変更でも、期間内に全ての部屋を完成させてお引渡しをしなければいけない設計会社や工事会社の労力、A様だけでなく他の購入者からの細かいオプション要望に対応して見積りを作っていく、プランナーの方々の面倒さを考えると、それなりに金額が掛かるのは理解できます。ただ、お客様側に立って、この金額をどう思うかと聞かれると、「高過ぎる!これであれば、一旦建物が出来上がった後にリフォーム工事をした方が安価にできる」と思ってしまうのです。。。

SDG’s的(持続可能な開発目標)には、一度出来上がったものを壊すより、事前に計画を立てて、無駄が生じないようにすべきなことは理解しておりますが、お客様が出費する費用のことを考えて、引き渡し後に同じ工事を行った場合と金額の比較をさせて頂きました。そのうえで、必要のないものは設計変更オプションは中止とするようにA様にアドバイス致しました。
逆に採用したものは、引き渡し後にリフォームを行った際に余計に金額がかかってしまう項目です。
壁面の位置の移動は床材と絡むため後で行うと周囲の床材を張り替える作業(壁移動の工事が目的工事とすると、床材の張替え工事は道連れ工事となります)が出てきてしまいます。
道連れ工事が発生するような項目は、却って新築時の変更オプションでお願いしておいた方が安くなるので、最低限必要なものだけをまとめA様には再度デベロッパーに見積もりをお願いするよう頼みました。

1か月後に出てきた見積もりがこちらです。442,259円

約1200万円の減額です。

A様に設計変更の内容、これからの構想を説明して、了解いただきました。
これで、引き渡し後のリフォームの下地作りが整いました。次回はいよいよA様へのザ・ライブラリーとしての初めてのプレゼンテーションになります。

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