契約から短い期間でしたが、一気に実施設計を完了し、いよいよ工事の着工日を迎えました。
今回の千代田区O邸は、新築マンションということもあり、既存を活かしながらのザ・ライブラリーらしいインテリア改修になります。
初日は、壊さない部分の養生を行い、全体の計画を集まった職人さんたちに説明をしていきます。
一部間仕切り壁の移動や、トイレの移設もあるため、一部を解体して、想定通りいくか確認を行っていきました。
照明計画が大きく変更になるため、天井は大々的に剥がし家具が取りつく部分は寸法通りに下地を組んでいきます。
一般的な鉄筋コンクリート造(RC)のマンションは、真っ白な空間に柱や梁型がやけに目立ちます。その出っ張った躯体をいかに消すかがザ・ライブラリーのマジックなのです!上の写真はそのための下地を組んだ後です。既存よりも天井が低くなる部分もありますが、ラインを整える作業がいかに大事かは完成にかけて順にご紹介していきます。
天井のフレームの中に木製の下地を入れているところです。これは、お施主様の希望のmoooiのヘラクレウム3リニアというペンダント照明を吊るための物です。
この手の大型の照明器具を設置するためには、初めの段階で、器具の寸法や、吊る位置など正確に墨出しをして下地を入れておく必要があります。ということは、購入するテーブルや置く位置も決まっているということですね。前回のブログでご紹介したように先に置き家具を決めて照明計画をすることはとても重要なことなのです。よくお施主様の方から「家具は後で考えます」とのお話を頂くこともありますが、今お持ちの家具を使用する場合も事前に大きさを確認させていただくようにしています。
今回採用する間接照明についても事前に墨を出しを行い下地を組む前に出幅や、ライン照明の設置位置を確認していきます。
今回の一番の難関はトイレの移動でした。事前の内覧会の時に確認できたお陰で、配管の移設ルートを最小限に解体して引き込みなうすことが無事できました!
あとは元通り床下地を張り込み便器の配管工事は完了です。
下地が終わったところで、剥がしたタイルは再利用できませんが、綺麗にタイルを割り付けるため図面を起こします。
今回触らない浴室にも同様のタイルが貼ってありますので、横方向のタイル目地は浴室と合わせ、縦方向はトイレの芯で基準を設定しました。
↓こちらが現場での墨出しです。
この線を基準として新たにタイルを張り込んでいきます。これでトイレの配管を移設して復旧が完了です!
そしてここからが表題の様に、既存で使用している材料を活かす方法についてです。今回の計画では一部壁面の位置を変更します。全て新規の床材で張り替えてしまえば一番やりやすいのですが、それではコストも時間もかかり、なおかつ新品の材料を破棄することにもなるのです。しかし、張り増しする部分のみ既存の床材と同じ材料を探す途方もない作業になるわけです。。。
お施主様を通してマンションデベロッパーの担当者に既存の材料を伺ったところ、幸いにも親切に使用しているメーカーや品番まで教えて頂くことが出来ました!
問題はココからです。
①玄関の床材はビアンコカラーラ(大理石)厚み13mm※メーカーなどの指定なし。
②居室の木製フローリング材※メーカー品番共に指定あり。
①ビアンコカラーラ
まずは大理石はどこから購入したかが解らないため、大手石材ブランドの関ケ原石材に協力を仰ぎました。丁度ビアンコカララの13mm既製品があるとのことで1ケース送ってもらい現地にて確認を行いました。
。。。色が違う。天然の物なので仕方ないと言えばそれまでなのですが、これでは仕上がりが不自然すぎます。
関ケ原石材の担当者に話を聞くと、白いビアンコカラーラは最近なくなってきたとのこと、無理を承知でそれでも近いものを探してもらえないかと相談したところ、在庫のロット違いの箱を全て開けてもらい、その中から色味が合い、質の良いものを厳選していただけるという対応をしていただきました。もちろん通常の価格では納まりませんが、ありがたい対応です。
そして届いたものがこちら。
完璧です!これでお施主様にもご納得いただけるクオリティーに仕上がりそうです。
②木製フローリング
こちらは製造メーカーも品番も情報を頂いていたので、安易に見つかりそうです。
早速メーカーとやり取りをして、張り増しする部分のみの床材を発注しました。
2週間後に材料が届き、大工さんと荷ほどきして並べてみると。。。
色味が微妙に違います。写真の右側が既存の床材(少し赤みががっています)左が新規で購入した床材(少し黄みがかっています)。
大理石同様自然の物なのでロットが変われば多少の色味が違うのは仕方のないことですが、今回はこのお部屋の床材は追加注文をして全て新規の床材で張り替えることにしました。
新築マンションリノベーションならではの苦労を痛感する出来事でした。少しづつ仕上げ工事も進み、いよいよ家具工事を待つばかりとなりました。家具工事の前後の仕上げは、材料の取り合いが難しく、これからが施工の本番です!