先回のブログで恵比寿A邸の造作キッチンの組立て状況を書きましたが、実はキッチンと同時にその他の造作家具の組立ても進んでいます。

こちらは、廊下からLDKへ入る建具の横にくる飾り棚収納です。枠材は黒の鏡面磨きで、背面にはカラーガラスが入るという凝った、逃げが無い造りとなっていますが、担当スタッフの前田の細かい指示と、造作家具屋のアルノの粘り強く精度の高い加工技術で、うまく収まりそうです。

展開図を元にして、造作家具屋のアルノが最初に作ってくれた図面がこちらです。細かい寸法や取り合いは赤チェックで直していますが、実は上下の枠の納まりがこれでは上手く行っていないことが判りました…。

 

そこで前田が作ったのがこちらの指示図です。腰下と腰上で、一旦カウンターで分かれている造作家具ですが、上下の枠をどこ位置で合わせるときれいに見えるかを検討してくれたのがこの指示図なのです。

細かい図面修正を経て(竣工お引き渡し時)完成したのがこちらの飾り棚です。

 

飾り棚の隣にはレザー張りの建具が入ります。この写真はまだレザーパネルが張られてなく、取っ手上のガラスもまだ入っていない、すっぴん(笑)の状態です。

引き込み扉ですが、壁の中に完全に引き込んだ際には、指を差し込めば軽く引き出せるように特殊な金物をオーダーで作って貰っています。

そして完成した時の様子がこちらです。壁のクロスパネルと目地の位置を合わせることで、より完成度が高まって見えますね。

レザーパネルと特注取っ手とクロスパネル張りのディテールです。

クロスパネルは、扉を開けた際には洗面の扉の枠ラインまで伸びています。天井段差の位置にもラインを合わせて貰っています。

こちらは大理石張りのテレビ壁の裏のニッチです。ここにワインセラーを組み込んだミニバーコーナーを作ります。

まずは黒く塗装されて、下部にワイングラスホールダーを取り付けた吊戸棚を設置します。ベニヤ板の裏にスペースがあるのは、ビルトインタイプのワインセラーの背面からの排熱の為のスペースとなっています。

クオーツストーンの甲板と背面板を取り付ければ、後はワインセラーが来るのを待つだけです。黄色い養生テープが張られているのはコーキングを打つための準備です。

そしてビルトインセラーが入った最終形がこちらです。窓枠の立上り位置に合わせて、下台を作ることで、窓際まで有効に活用することができました。

大理石張りのテレビ壁のワインセラーの反対側は、DVDプレーヤー等のAV機器とその他書類等をしまう為の収納となっています。茶色い扉はまだカラーガラスを貼る前の状態です。

扉の上部は、間接照明やモールディングとの取り合い、更にはスプリンクラー等があって、かなり面倒な仕様となっていますが、

最終的にはこのようにきれいに収まりました。

折り上げ天井の立上り部分のアルミスパンドレル(住宅や工場の外壁材)は、ザ・ライブラリーでも定番になっていますね。工場で事前にカットしたスパンドレルを…、

番号に沿って両面テープとビスで固定していくだけです。

こちらは勿体なかったので既存を活かして転用したトイレの手洗いとカウンターです。お客さまからは自動水栓に交換できないかとのお尋ねもありましたが、このシンクだと吐水のカーブと排水口との位置がマッチしないので、水ハネの原因になるので、残念ではありますが諦めて頂きました。

最後は純粋な造り付け家具ではありませんが、置き家具とも言えない半固定のナイトテーブルを紹介しておきます。

上の赤いスケッチが担当スタッフの前田が描いたもので、それをベース造作家具屋あるのが作ってくれたのが下の製作図です。これまで何度かナイトテーブル(ベッドサイドの小さなテーブル)を作ったことがありますが、サイズが小さいことで、前に倒れてきてしまったりするので、単純そうに見えて中々難しいのです。

今回は工夫を加えて、引き出しを外した奥に穴を開けて置き、そこから壁面にチェーンで倒れ留めを繋げる工夫を考えてみました。

この奢侈のように、ちょうど背面の隠れる位置の壁にフックを取り付け、ナイトテーブルの背部のフックとチェーンで繋ぐというアイデアです。後で取り外せないと、模様替えやお引越しの時に困ってしまうので、その場合は中段の引き出しを外せば、背面に手が届くようにしてあります。

こちらが最終形のナイトテーブルです。シンプルなように見えて、天板に携帯の充電用のコンセントがあったり、倒れ留めがあったりと細かい工夫が必要な造作家具なのです。