A様より相談いただいている都内の新築マンションのモデルルームが完成したため、内覧会に同行させていただきました。
新築マンションの相談は珍しいことなので、事前に送って貰っていたマンション開発業者(デベロッパー)からの資料には綿密に目を通しておきました。

資料の中には購入者が選ぶオプションがリストになっていますが、その中でも有償のものと無償もものがあることが分かりました。主に設備機器類などを細かくグレードアップしてゆくのが有償オプションで、床や扉(建具)などの色味を選ぶ無償オプションです。その後、収納の使い勝手(開き扉を引き出しに変更するなど)やダウンライト照明位置の移動など、資料の中では提示されていないものでも、有償オプションとして検討して貰える項目(新築マンションでは設計変更オプションと呼ばれるそうです)があることも分かってきました。

新築中のマンションよりほど近いところにモデルルームは位置しており、A様と現地にて待ち合わせをして、一緒にショールームを見学致しました。ショールームはどこの新築マンションも似たようなものだそうですが、標準的な作りを纏めて紹介するミニコーナーと、有償オプションや設計変更オプションを存分に使った実に魅力的な室内展示ルームがあり、中々に注意が必要なことが分かりました。

まずは判りやすい無償オプションの内容を確認しました。
デベロッパーであらかじめコーディネートされた3種類の色味(床、建具、壁、キッチン、浴室、洗面台)が用意されています。
1つ目(写真左)はウォールナット系の濃い目のコーディネートです。2つ目(写真中)はトープ系の明るめのグレイッシュなコーディネートです。3つ目(写真右)はチーク系の黄赤でこのタイプのみ建具のデザインが違う物でした。A様の第一印象は1つ目のシックなウォールナット系のコーディネートでした。
各部屋の素材を集めて畳1帖程度のスペースに並べられた各コーディネートブースは、素材や色味に溢れていますが、実際使用される素材の面積は居室に対してごく一部の部分です。
恐らくこのブースを見られた皆さまは、おそらく素材の面積比の空間認識は持たれていないように思いました。
今後のA様への提案のために、3種の質感や色味を1種に絞らずに記録として写真を撮りました。

続いて有償オプション、設計変更のフルオプションのお部屋展示を内覧させて貰いました。

先程の凝縮されたミニブースを見た後にこの部屋をみると、素晴らしい空間性にワクワクしてきます。横で一緒に内覧しているお客さまも、素敵なインテリアを体感しながら、このマンションを買ってよかったととても喜んでいることが良く分かりました。実際購入したお部屋もこのようになるのかと期待してしまいそうです。。。

しかし、現実はそこまで甘くないのです!冷静にショールームスタッフに、お客さまがご購入なさったお部屋をこの展示空間のように変更してゆくには、どのくらいの追加費用が掛かるのかを問い合わせたところ、何と数千万円分のオプションを選択する必要があることが分かったのです。どこの新築マンションショールームでも似たような造りになっているそうですが、本当に巧妙に作られた罠のようで、注意が必要なのが良く分かりました。

例えば「同じ間取りの2部屋でノーマルの部屋(つまりオプションなし)とフルオプションの部屋を見比べることが出来ればお客様の誤解を生まないのに」と思いながら見学致しました。
私の中でA様への提案がありましたので、この日は色味や有償オプションは決定せずに、後日郵送で選定書類をお送りすることにしました。帰り際にエントランスに飾られている外観の模型でA様の住居部分の窓の形状や上下階との関係性など確認致しました。
外観からは3面バルコニーが付いており方位的にも本当に良いお部屋です。
次回は、本日私が感じた違和感などをまとめ、A様にご提案したいと思います。どのようにして無駄な費用を掛けずに、見学したショールームのような素敵な部屋にして行くか、作戦を練ってゆく必要がありそうです。

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