新築マンションリノベーションの千代田区O邸の寝室リフォームのご相談のその後です。
普段は平面図に手書きで家具レイアウトを行い、そこからCADで詳細平面図と展開図、そしてイメージスケッチへと展開するのですが、今回はOさまとの信頼関係はすでに出来上がっているので、そのプロセスを省略して、家具レイアウトからCGを作ってご提案することとなりました。家具レイアウト上、どうしても異物として残ってしまう複合プリンターを置く場所が決まってしまうので、そこから逆算して窓際に最大限の収納を作って、残った壁に沿って作業机とベッドをレイアウトしました。
正面が窓際に設けた収納家具です。先回伺った際の実測調査で調べた収納物の容量を十二分にカバーできる造作収納となっています。
作業机は、主にパソコンでの作業で、自然光はかえって不要だとのことでしたので、窓と対面で、廊下からの入り口扉とウォークインクローゼットへの扉に挟まれた位置に書斎テーブルを置きました。壁と二つの扉を囲うように(ザ・ライブラリーお得意の)木製の三方枠を回しています。
今回のご提案は、基本的には既にご購入いただいている、デスク、椅子、ベッド、複合機、ラグを活かした計画としており、今の収納から溢れている荷物を十分に収納が出来ることをデザインのメインテーマとしているので、造作家具周り以外はかなりシンプルにしています。
こちらの提案に対して、まずOさまからメールでのご返信を頂きました。その時に一緒に送って頂いたのが、こちらのマーキングされたCGです。
「緑枠部分の造作収納は衣類を想定してのご提案かと認識したのですが、書籍や書類、ファイル類を収納したいと思っております。衣類はウォークインクローゼットで収納できている一方で、書類やファイル類が溢れてしまっており、書籍・書類・ファイルをかっこよく収納できるスペースとしていただけるとありがたいです。また赤い台の部分が、複合機から印刷した書類のホチキス止めをしたり、書類の仕分け作業をするのに意外と便利なスペースのため、広めに確保したいと思っています。」との具体的なご返信でした。
以上のリクエストに沿って壁面造作収納を考え直したデザイン案がこちらです。因みに、このデザインに到達する前に、O様から「壁面全面の棚が少し重たい印象を受けたため、
また、ここまではリビングダイニングの延長でウォールナットをメインの素材として作っていましたが…、
同じデザインながら、リビングのテレビ壁の反対側のバーカウンターで使った灰色に染色した木材で作った案もお送りしたところ、こちらのデザインがOさまにヒットしたとのことでした!
以下、Oさまからのご返信です。「バーカウンター側の色味は、軽やかさ/明るさを感じファイルを開いた瞬間に「素敵!」と感じました。「見せる収納」は、背面のガラスと照明によって洗練された雰囲気を醸し出しますね。」とのこでした。
飾り棚の収納部分についてのリクエストを頂きました。
「緑枠部分は書籍(文庫本サイズからA4サイズ)を中心に収納していきたいと思っているのですが、棚板を追加する等によって対応可能でしょうか?」
こちらは具体的に飾り棚の寸法をCGに記載した返信用の図面です。ご返信としては、以下の様にお送りしました。
「棚におきましては棚ごとに照明を仕込んでいるため可動が出来ない仕様となります。真ん中の点線部分には可動棚を追加することも可能ですが、可動棚の背面に間接照明をつけることが出来ないのです。」とお送りいたしました。
デザインが纏まってきたところで、電気配線のことを中心に以下の様なリクエストを頂きました。
まずは具体的にどのようなコンセントとLAN配線が必要かを纏めてくださった内容です。
既存の壁のLAN配線取り出し口から、どのように配線を繋げたいかまでかなり具体的に指示を出してもらいました。
デザインと収納性を両立するために、細かいご要望を頂いております。図面よりお客さまでも直感的に判りやすいCGがあることで、そこに書き込んでくださっているので、お客さまも楽だとのことでしたが、僕ら設計側もとてもやりやす形で進めることができています。
その後のやり取りで、飾り棚の背面はクオーツストーンに戻りましたが、現時点での最新のCGがこちらです。パソコン上のダウンライト照明を増やしたり、折り上げ天井のクロスの色をグレーにしたり、オフィスチェアの下のラグを円形に変えたり、ベッドをグレードアップしたりと、細かい修正を重ねて決ました。直接お会いすることなく、メールだけでここまで使い勝手とデザインを昇華させることができたことが何よりの驚きです。やはり一度リビングダイニングでCGを通した濃密なやり取りをしたことがあるので、Oさまも僕らザ・ライブラリーが何ができて何ができないかをよくわかってくださっていることと、お互いの信頼関係がすでに築き上げられていることでなせることだと思っております。
ここで一旦デザイン作業をストップして見積りを作ることとなりました。