現在工事進行中の中央区S邸のお客さまは、武骨ながらカッコよい素材、そしてラフに見えてきちんとディテールがあることを重視する方です。ザ・ライブラリーとして提案した内装材の一つが、セメント系素材のソリドです。建物の外壁材に使えるほどの頑丈さを持ちながら、一枚一枚が違った自然で豊かな表情を持ち、それでいてリーズナブルな価格なこともあって、建築家が設計するデザイン性を重視した戸建て住宅では大人気の素材となっています。ただ、製品精度がそれほど高くないことと、端部がもろいので、そのままではザ・ライブラリーとしては使えないだろうとのこと、金属の目地を間に挟むことで硬質感と光沢を加えてご提案することとなりました。
まだ施工途中の段階ですが、壁に張ったソリドと金属目地の取り合いディテールを撮影したものがこちらです。セメントからカルシウムが白く滲み出てしまうエフロレッセンス(白華)をわざとデザインに取り込んだラフな素材の隙間にキラリとした光沢感があるステンレス鏡面磨きの目地棒が入ることで、設計側が狙ったデザイン意図がうまく表現できました。
サンプルでソリドの色味とステンレスの見切り材のサイズを決め、それを展開図に書き込むところまでは簡単でしたが…、
、現場に届いたソリドの梱包を開けて、すべてを一旦箱から出して仮並べします。因みに、これは2層吹き抜けの上階から見下ろした写真です。
外壁&内装でこれまで幾度か使ったことがある田口の経験では、ソリドは再生材料比率約60%のリサイクル建材なので、色味の暴れ度合いがかなりあるとのこと、現場では慎重にコトを進めています。
ベニヤ板で組んだ下地に墨(スミ)で線を書き…、
特注で作ったステンレス見切り材とソリドを順番に取り付けていきます。
ソリドの端部が少し脆いので、ステンレス見切りを1ミリ程勝たせています。
詳細はこんなサイズで作成しています。小さい見切り材ですが、ソリドとの質感の差を出すため小口面には#600程度の磨きを入れてエッジがキラッと輝くようにしています。
ソリド同士が連続する箇所は、当初の雄型と雌型を使ってピタリと寄せて張ります。
手慣れた大工さんが一人でソリド、見切り、ソリドと順番に張っていきます。
途中テレビ台が来る箇所はコンセントや配線孔をあけて張り、ほぼ完成した様子です。
正面から見るとステンレス見切り材がそれほど目立ちませんが、光の差し込む向きと合うと、キラリと見切り材が光るスタイリッシュな壁面に仕上がりました。
今回はキッチンと玄関ホールの床仕上げ材としてもソリドを使っています。
力強いフローリング材のビザンツグリネオ(IOC)とぶつかる個所には…、
真鍮の見切り材を入れています。
ヘアライン仕上げとすることで少し落ち着いた仕上げりにしました。真鍮は溶接が出来ないため小さなビスでL型にして床に留めています。
玄関ホールには、少し赤味が入った錆茶を使い、やはり玄関框の小さな段差部分に…、
真鍮目地を框として入れています。
こちらも床見切り同様ヘアライン仕上げで金の色味を少し落ち着かせ、フラットバーをビス止めで固定しました。