先回のブログの通り、お目当ての白系大理石が見つかり、今回の中国福建省への大理石ツアーの第一の目的が叶いました!
中国で大理石を案内してくれた曽さんにお願いして、大理石のスラブ材を薄突きにしてアルミハニカム下地に貼る工場を見せて貰いました。
アルミハニカム複合大理石(別名、ハニカムストーン、薄板大理石複合パネル)はこのような製品となります。普通の大理石スラブは厚みが20~30(日本の標準)、15~20(中国の標準)とされています。
それに対して、アルミハニカム複合大理石は石材の厚みが3~5ミリで、その薄さを補強する形でアルミハニカムが背面から貼られた加工品となります。
一般のスラブ材と比較してのメリットは、
・重量が軽い(同じサイズのスラブ材と比べると、1/3から1/5程度)
・曲げ強度、耐衝撃性が高い
・軽いため、接着での施工が可能で施工性が高い
・寸法安定性が高く、たわみや反りが少ない
デメリットは、
・コストが高い(加工する手間が掛かっているので普通のスラブ材の倍以上の価格になる)
・厚みが薄いため、エッジ加工や曲面加工が難しい
といったことが特徴となります。
「薄く加工した石材にアルミハニカムに貼りつけたもの」と先ほど書きましたが、工場を見てそれが全く嘘だったことが判りました。
大理石のスラブの両面にアルミハニカムを密着させてから、スラブ大理石のちょうど中央からカットするという加工方法で、一度にブックマッチになった加工板を作るというのが正しい表現でした。使われている切断用の機械は、マルチワイヤー切断機と言われるもので、それほど特殊なものではありませんでした。
この工場の別の場所では、このように、巨大な石と井桁に組まれた鉄のフレームで、両面からアルミハニカムパネルを接着した石材のベースとなるものを作っていました。石材の硬度と同程度の強度のある、高強度接着剤を使っているとのことでした。
こうやって見ると、かなり素朴な技術で、接着固定するのにもかなりの時間が掛かりそうですね。
こちらはかなり大判のコスミックブラックという黒系の御影石の石材のアルミハニカム材でした。御影石は大理石より硬度が高く、カットする時間も倍以上掛かりますから、この製品にすると価格はかなり上がってくると思われます。
基本となる同じ技術を使って、色々な加工大理石製品が作れれていることが判りました。こちらは小さく切断されてしまっていますが、御影石の基材に白系の大理石を貼った材でした。御影石であれば石材としての安定度は大理石以上ですから、人が乗る階段やベンチなどの建築物でも使えそうです。ただ、軽量化のメリットは全くありませんね…。
こちらの製品は、大判セラミックタイルに大理石が張られたものでした。大判セラミックタイルであれば、薄いながら基材としての安定度は御影石よりも高いですから、重量を少し軽減しつつ頑丈さは担保できそうです。
この写真の右側のものが基材となっている大判セラミックタイルです。
左側の男性が持っている石材を見ると、端っこが剝がれてしまっているようですね…。きちんと聞いた訳ではありませんが、石材の室によってはきれいにカットできず剥離してしまうこともあるのかもしれません。
かつては、アルミハニカム材の問題の一つが、出隅の納め方と言われていましたが、今はこのように端部に同材の無垢加工材を使う技術が発展して、カウンター材として使っても無垢材とほぼ遜色がないところまで進んでいるようです。
因みにこの薄切り大理石を基材に張る技術のベースとなる部分は、バブル期の1980年代に日本の石材会社大手の関ケ原石材と新日鉄と旭化成が共同で開発したそうですが、コストが合わずに技術そのものを中国に売却したという噂を聞いたことがあります。